sonota

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昨日の夜の話。残業が終わり帰宅。21時頃。

車を停め駐車場からアパートへ歩いていると

棟の入り口の集合郵便受けの前に中学生くらいの少年の後ろ姿が見えた。

青いシャツ。

はて?こんな人この棟にいたっけ?ポスティング?

と思いつつ自分の郵便受けをチェックしようと近づくと

少年は俺の存在に気付き、逃げるように階段を昇って行った。

顔は見えなかった。


何だよ?誰?2階か3階の住人?中学生なんかいたっけ?

俺は郵便を手に4階の自室への階段を昇って行ったのだが、

明らかに前を行く少年の様子がおかしい。

どうも俺の様子を伺いながら、ちょうど一階分の距離を保ちつつ

階段を昇っているのだ。アパートは折り返し階段。

階と階の間にある踊り場の窓ガラスに映る

青いシャツの動きでその様子がわかる。


逃げてる。少年はこの棟の住人ではない。

もし俺が2階か3階で部屋に入ったら、

その後階段を降りて行こうと思っているのだろう。

しかし俺の部屋は最上階の4階。

なぜ逃げる?郵便受けの前ですれ違った位だったら

誰だっけ?で済んだのに。

何かやましい事をしてたのだろうか?

ラブレター?ストーカー?郵便物泥棒?可能性は無限大。

逃げるにしても逃げる方向を間違っている。

慌てたか?


俺が2階、そして3階へと昇って行くにつれ2人の間に緊張が走る。

認識してるのは踊り場の窓ガラスに映るお互いの体の一部だけ。

3階。当然だが俺は部屋に入らない。

今、4階の俺の部屋の前に立っているであろう少年は

どうするつもりなんだろう?

そんなに逃げなきゃいけない事をしていたというのか?

気味が悪いというか怖くなってきた。

一旦引き返す事も考えた。しばらくどっかで時間つぶしてから

戻ってくればこの少年もいなくなってるだろうし(俺に用がないのなら)。

しかし俺は仕事を終え家に帰っているだけなのだ。

くだらない仕事を終え家に帰っているだけなのだ。

シャワーを浴びビールを呑み飯を食べ明日の為眠らなければならない。

この可能性は無限大の青いシャツの少年にそれを邪魔されていいのか?


流石におそるおそる階段を一段づつ昇り、踊り場で折り返し

上を注意しながら俺は自室に近づいた。

いない。

4階。自室の前。少年はいない。ということは。

まさかとは思ったが、少年は4階から更に上に、つまり、屋上に続く

階段を昇ったらしい。折り返し階段の上は行き止まりの非常扉。

4階から上の階段の電気は消えてる。

しかし確実に奴はそこにいる。暗闇の中で息を殺して。

普段より3割太めの声で「おい」と声をかけてみるが返事はない。


これ以上距離をつめるのも刺激するのも危険だと思い

俺は素早く玄関の鍵を開け部屋に入った。

そして扉の覗き穴から外の様子を見ていた。

じきに少年は階段を降りてくるだろうと踏んで。

そして、そうじゃなきゃ困る。

10分、20分、30分、降りてこない。

その頃になると俺が見たのは本当に少年だったのか

疑いたくもなってくる。夏だし。階段ゆえに怪談?とか。

確かめに行く?襲いかかってきたり、

屋上への非常扉破られてたりしたら更に怖いし。

警察?大袈裟?管理人さん?

とか考えつつ40分が経とうとしたその時、ガサガサという音と同時に

階段を駆け下りてくる足音。

青いシャツの少年が覗き窓の向こうを高速で駆け抜けて行った。


ふんがー。なんなのよ。

恥ずかしながら、少年が現実に存在しててほっとした。


まずは管理人さんに、敷地内に不審者いましたって連絡しなきゃ。

前も何か敷地内不審者騒ぎあったような。

可能性は無限大だし。



| abe | comments(2) |
事実は小説より奇なり。
僭越ではありますが文才すごいですね。
引き込まれました。
| 西澤 | 2013/08/02 8:23 PM |

笑。すごくはないです。「ふんがー」ですから。
| アベ | 2013/08/06 7:29 AM |











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